鞄と時計

この年齢になったから響く言葉がある。若い頃には、なんでもなかった言葉が、人生という歴史を経験することで、響くフレーズがある。

「鞄と時計」・・・この歌は、そんな作品だ。

ストーリーがわかるわけではない。フレーズ、フレーズから生まれてくるストーリーは、すべて、それぞれ聴き手に任されている。だから、聴くぼくらが経験をつんでいなければ、響かない。そこを狙ってくる松井五郎さんってすごい。

このすごさを、理論でなく、匂いで嗅ぎつけているのが森川美穂だ。歌ってみると、感覚でわかる。そこに何かがあると嗅ぎつけるのだ。面白い。これは、松井さんが仕掛けた罠なのか?あるいは、どこまで来れるのか?試されているのかもしれない。Chageさんというキャスティングも、きっと用意周到に考えらえたプロディースだ。森川にとってはありがたすぎる冒険。

作家とはなんだろう? 歌手を作品でプロデュースする。そう言い切っていい。この空白の多い歌詞・・・それは、聴き手のぼくらに委ねられている。そして、Chageさんのメロディーがまたすごすぎる。

作家は、歌手とよりそう。しかし、あえて、注文をださず、Chageさんの世界を森川に与えた。これが松井五郎プロデュースだ。森川はなやんだ。そして感じたままに歌った。一つ、新しい世界を経験できた。50にして、殻をやぶることができた。森川美穂という歌手のすごいところだ。

ぼくは傍観者だけど、35年レコーディングディレクターをやっていて、こんなすばらしいレコーディングを見たことがない。みんなが、森川美穂をすばらしい歌手へと導いてくれた。松井五郎、山川恵津子、都志見隆、Chage、野上朝生、・・森川美穂は幸せものだ。

歌は変化する。表現は果てしなく成長してゆく。歌が変わるって、どんな心境だったのだろう?
森川さんの歌の幅がズドンと広がった。それが 「female」 というアルバムになった。

10/28の京都ライブ、新境地の森川にぜひ会いにきてください。リリースライブより一足早く、塩入さんのピアノで、今、この瞬間の森川美穂の「裸の歌」を浴びてほしい。

10/28京都:都雅都雅

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