音源完成!〜そして明日は、Mastering

今回は、松井五郎さんプロデュースで、松井さんの考え方、判断をとなりで勉強させていただきました。この年になって、勉強ができることは、スタッフとしてもとてもありがたいプログラムでした。

そうか、こういう考え方があるんだ。そうか、歌詞から発想したアプローチで考えると、こんなディレクション、導き方があるのか。など、目から鱗の連続でした。また、松井さんと山川さんの阿吽には、あんぐり、びっくり、うらやましい才能と才能です。いーなー、ぼくも、あーいうのほしい、、、とないものねだり。でも、それは、今だからこそ。インスタントはないのがこの世界。ぶつかりあったり、すれちがったり、でも、その底の底に「信頼」があってこそ、こんな関係はうまれるんだろうな。ぼくもほしい・・・と思っても、簡単でないことくらいはわかります。

そして明日はついにマスタリング!ぼくはマスタリング後にアルバムを通して聴く、いつもこの瞬間が大好きです。

実は昨今、効率化の波が押し寄せ、このアルバムを通して聴くということをやらなくなりました。ぼくには理解できません。アルバムを完成させて、最終確認も含めて、通してきくことで、わかることがとても多くあるし、それで気になったところがあれば、またやり直すこともあります。しかし、今は、通して聴くことは、ほとんどしないそうです。だいたい、曲間は2秒でやっていくし、そんな感じです。

音楽をつくっているのか?製品をつくっているのか?というジレンマは若いころから感じていたし、悩みもしたけど、それはどちらかではなくシンプルに両方です。すくなくとも、音楽をつくっているから、その結果として製品ができあがると、ぼくらは信じているのです。

そうそう、森川さんと20数年ぶりにあったうどんやでの第一声は、「あのさー、西嶋さんさー、私歌がうまくなりたいの、どうしたらいい?」でした。それで、つづけて弾丸のように「あのね、今、大学で教えていて、コンサートやってもみんな褒めることしかないの。よかったよって言ってくれるのは嬉しいんだけど、なんかさ、ここで止まっていたくないんだよね。ねぇ、どうしたらいいの?」・・・・と、ぼくは、そんな言葉を聞きながら、うどんをすすっていました。

森川さん本人は、歌っているときに製品のことなど考えていない。あたりまえですね。それは、スタッフの役目です。森川はいい歌とはなにか?そして、それを実行する役目・・そうでしょ? はい、そうです。・・・そこに自分をどう投影できるかが勝負なの・・・おっしゃる通りで。と、いうわけでございます。

製品製造工程ではあるけど、勝負している場所がちがう。そこが楽しいのがレコーディング現場で、今回の松井五郎さんプロデュースは、当たり前ではありますが、なによりも内容を一番大切にしてくれているのです。そんなチームと出会えたことは、森川さんにとって本当に幸せです。そしてぼくは、すばらしい作品がどんどん出来上がっていくのをリラックスしながら、眺めながら、勉強しながら楽しませていただきました。とても贅沢なことでした。

今回も、Mixは巨匠・山下有次さんにお世話になりました。どんな仕事をしてきた人かなんて、書ききれませんので、誰かがつくったサイトがあるのでこちらを参照してください。

写真は、Mixが全て完成したときに、エンジニアの山下さんがトイレに立ったときに撮った写真です。へへへ、アナログーな世界、これだからできるんだよなぁ、この音。

プラグインはつかわない。リバーブもアナログ時代の、SRV-2000とかつかっているから、この広がりがでるんだよなぁ。プラグインは、デジタルシミュレーションだから、あくまで似たような効果ということ。結局、アナログに出した音の変化までは再現できない。50年以上前、EQといえば、このALTECくらいしかなかったそうです。基本、ミキサー卓はディスクリートで、やれることは音量調節がメインでEQはアウトボードだったわけです。しかし、この当時のディスクリートの音のストレートさはすばらしい。ここに近づけるために、山下さんは、自分でサミングアンプも作っている。これは強力だ。プロツールスから、アナログにだして最後は、サミングアンプから、そのままマスタリング用のハードディスクになんとパナソニックのDATのADコンバータ部分を使ってデジタル録音している。一切無駄な工程がない。工程が一つ増えることは、変化が起こる可能性がある。そして、それはトラブルの可能性も含まれる。使い方としての妙は、コンプも音質の変化として好きな音をつくるエフェクト的な扱いでつかっていたのが面白い。コンプレッションが目的ではなく、どちらかといえば、EQというか、音の質感の変化をもくてきにクワドエイトを通していた。エンジニアは技術は必要であるけど、この「考え方」があってこそ「音楽」が成立するのだといつも感心させられます。

はやく、みなさんに、聴いてもらいたい気持ちでいっぱいです。
CD予約はこちらでまってます→ https://morikawamiho.com/female/

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